MAC症とは
どうも
呼吸器の情熱です。前回に引き続きNTMの中のMAC症について勉強します。
NTMの中でMAC症は約9割と言われている。
MAC(Mycobacterium avium complex)には様々あるが、M.aviumとM.intracelulareの
2つが大切。
日本ではMACの7割がM.avium、3割がM.intracellulare。地方によっても異なるようで、
西日本(中国・四国・九州など)はM.intracellulareのほうが多い。
MAC症の診断
診断基準に関してはNTMの診断基準に則る。
臨床的基準と細菌学的基準の両方を満たすことと言われている。下記NTM症の診断基準。
A.臨床的基準
①胸部画像所見で、結節性陰影、小結節性陰影や分枝状陰影の散布、均等性陰影、空洞性陰影、
気管支または細気管支拡張所見のいずれかを示す
②他の疾患を除外できる
B.細菌学的基準(以下のいずれか1項目を満たす)
①2回以上の異なった喀痰検体での培養陽性
②1回以上の気管支洗浄液での培養陽性
③経気管支肺生検または肺生検組織の場合は、抗酸菌症に合致する組織学的所見と同時に
組織、または気管支洗浄液、または喀痰での1回以上の培養陽性。
④まれな菌種や環境から高頻度に分類される菌種の場合は、検体種類を問わず2回以上の
培養陽性と菌種同定検査を原則とし、専門家の見解を必要とする。
以上のA、Bを満たすこと。
画像はわかりやすいが、BF検査を行っていなければ2回以上の培養陽性で診断できることに
注意する。
血液検査では、MAC抗体が有用である。
MAC抗体 0.7 U/mLをカットオフ(感度69.6%、特異度90.6%)
免疫抑制状態では感度は低下する。MAC症の3割がMAC抗体陰性となるため注意が必要。
MAC抗体が偽陽性になるパターンはM.abscessus、M.Fortuitumなどの迅速発育菌
治療効果がある肺MAC症では、経時的にMAC抗体価が低下すると言われている。
MAC抗体は治療の指標とできると思われる。
治療について
化学療法が必須であるが、限局的な場合など外科的切除を考慮できるときは選択肢として考える。
マクロライド系がキードラッグ!
RECAMによる治療(RFP、EB、CAMの3剤)
必要に応じてSM or KM(アミノグリコシド系)を重症例や外科治療併用例に使用する。
3剤使用ではCAMの耐性下が起こりにくく、EBはCAM耐性の抑制に働く。
EBも重要である。
RFP 1mg/kg(600mgまで)/日 分1
EB 1mg/kg(750mgまで)/日 分1
CAM 600~80mg(15-20mg/kg)/日 分1または分2(800mgは分2とする)
SMまたはKMの各々15mg/kg以下(1000mgまで)を週2回または3回筋注
参考文献:Kekkaku 2012;87:83-86
→治療効果が6か月ないときはALIS(吸入アミカシン)も検討
An official ATS/ERS/ESCMID/IDSA Clinical Practice Guideline 2020で
現在はAZMのレジメンかCAMのレジメンのどちらがよいかといったCQがある。
→AZMのレジメンを基本としたほうがよいとされている。
服薬錠数や薬物相互作用の観点と、消化器症状も少ないため。
AZM 250mg 1錠分1
治療による副作用について
治療初期の副作用としては
アレルギー反応で薬疹
胃腸障害
肝障害
がおきる可能性がある。
皮膚、肝臓、血液、腎、眼、耳に副作用が起きる。
皮疹→RFP、EB含めたすべての薬剤
血球減少→RFP
胃腸障害→RFP、CAM
肝障害→RFP
めまい、耳鳴り、腎機能障害→SM、KM
視神経障害→EB
発熱→RFP、SM
急性腎不全・間質性肺炎→RFP
治療期間について
菌陰性化後1年とされている。
2020年の複十字病院からの報告では15か月以上治療を継続した群で再発・再燃の率は低いとの
報告があり、個人的には15か月以上を目安としている。
まとめ
MAC症の治療はRECAMだが、AZMのレジメンやアミノグリコシド系、アミカシンの吸入など治療法は様々になっている。副作用も管理して治療したいと思います。
今後も勉強したら追記していきます。
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