結核の治療について

結核の治療

どうも
呼吸器の情熱です!結核の後半戦です。

治療のキーポイントは
①感受性薬を2剤以上併用していること(治療開始時は3剤)
②確実に薬剤を服用していることの確認
③一定期間の治療継続

です。

結核の治療薬剤

結核治療のキードラッグはRFPとINH

INH, RFP, EB, PZA
この順に5‐10‐15‐25mg/kgと覚える!1日1回投与


投与量不足は耐性化の原因となるため注意が必要である。

*注意点→結核の可能性がある患者ではニューキノロン系薬剤の処方を避ける。
 なんでもかんでも肺炎に対してLVFXを処方してはいけない。

*注意点②→高齢者の場合は2/3量で開始。体重が増加したら増量したり対処が必要。

RFP:リファンピシン
INH:イソニアジド
EB:エタンブトール
PZA:ピラジナミド

結核の標準治療レジメン

標準治療は
初期強化期:2か月間
維持期:4~10か月間

2HREZ-4HR:2か月間のINH+RFP+EB+PZA後に、4か月間のINHとRFP
2HRE‐7HR:2か月間のINH+RFP+EB後に、7か月間のINHとRFP
★末梢神経障害予防:ピリドキサール10mg 2錠分1

H:INH、R:RFP、E:EB、P:PZA、数字は投与期間

を表している。

★PZAを使用できるかどうかは以下
①肝硬変、慢性C型肝炎の肝障害
②妊娠中
③80歳以上の高齢者
*HBs抗原陽性には使用して良い。
 痛風や高尿酸血症の患者には注意が必要。総合的な判断が必要であり、高齢者のみでPZAを
 使用しないという風にしてはいけない。

最短では6か月間で治療を完遂できる。

★再発率が高い場合は、+3HRを追加してもよい。
①治療開始2か月を超えて菌検査で培養陽性が継続
②治療開始時重症な結核である。
 例:粟粒結核、中枢神経系の結核、広汎空洞型や厚壁空洞がある場合
③再治療例
④免疫低下が疑われる場合
 例:HIV感染、糖尿病、じん肺、関節リウマチなどの自己免疫疾患、
   ステロイドや免疫抑制作用のある薬剤の使用時

★腎機能障害がある場合
EB、PZAは週3回に減量すべき。
INHとRFPは減量の必要はない!

★肝機能障害がある場合
PZAは使用しないほうがよい。RFPの使用はできる。INHは慎重に使用可能。

★内服できない場合
胃管からの投与が推奨される。

結核治療を続けるために

定期的に内服ができているかどうかの確認が必要で、
直接服薬確認療法(DOTS:directly observed treatment, short-course)がある。

結核患者が薬を飲み忘れないように医療従事者の前で内服することで、
看護師や薬剤師などが必ずチェックすること。

結核薬の副作用

多くは治療開始2か月の間に出現する。
治療開始2か月→週2回、診察と採血確認。
PZA内服時の最初1か月は週1回採血(肝障害の把握のため)
治療開始3か月以降→ 喀痰培養検査は培養陰性化が確認できるまでは2週に1回。
          陰性化確認後は1か月に1回。

●肝障害→INH、PZA、RFPで多い
●薬疹→RFP・EB>PZA>INH
●消化器症状→RFP・PZA
●発熱→RFP
●血球減少→RFP(アレルギー機序で起こる)
●腎障害→SM・KM、RFP、EB
●末梢神経障害→INH、EB。開始後に末梢のしびれが出現。ビタミンB6製剤の予防投与をする。
●視神経障害→EB
●高尿酸血症→PZA。アロプリノールの併用で継続
●関節痛→PZA、LVFX。NSAIDsの併用で継続

抗結核薬の中止基準

T-Bil 2-3<
AST・ALT 150<
Plt 5‐6万>
WBC 2000>

上記を基準にして中止とすることが多い。
アレルギー症状の場合は、減感作療法を行うことがある。

治療開始時に説明しておくこと

①副作用の説明をする。
②RFPにより尿や汗がオレンジ色になるが心配ないこと(重要です)。
③内服期間中に禁酒する(RFPによりアルコール摂取で二日酔いがひどくなる)

結核が治ったら

2~3%の患者が再発する。
再発例は、治療終了後2年以内が多い。
最初の1年間は3か月ごとに受診。
2年目の1年間は半年ごとに胸部X線・採血、喀痰が出現するようなら培養チェックする。

つまり2年間は外来フォローする。

まとめ

多剤耐性でない場合は標準治療を行うため、
簡単ですが、飲み忘れてないかの内服チェックと副作用へのマネージメントが大切ですね。

多剤耐性菌への治療は私自身あまりやっていないため、まとめていませんが、
余裕があれば勉強しようと思います。

また次回~

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