肺癌の骨転移

肺癌

 どうも
 呼吸器の情熱です!今回はSASと離れて
 肺癌の骨転移について勉強したいと思います。

 参考文献:肺癌診療虎の巻 WJOG肺癌グループのプラクティス

骨転移の特徴

 骨転移は骨関連事象(SRE)によりQOLを著しく低下させる。
 肺癌では骨転移の頻度は高い
 NSCLCの48%、SCLCの40%に骨転移が生じていたとの報告がある。

 骨転移部位は脊椎(42%)>骨盤(18%)>大腿骨(6%)の順に多い

緊急性のある骨転移

 脊髄麻痺を生じている脊椎転移
 が最も緊急性がある。

 脊柱管内への腫瘍の浸潤や椎体破壊により脊髄圧迫からの脊髄麻痺をきたす。

 発症から24~48時間以内に緊急手術や放射線治療を検討する。
 脊髄圧迫のリスクが高い場合には放射線治療(RT)を積極的に検討。

 大腿骨など四肢長管骨や骨盤骨の病的骨折
 も緊急性がある。

 病変が2.5cm以上、あるいは荷重骨で皮質の50%以上に破壊が見られる場合
 病的骨折のリスクが高いとされ、手術の適応となる。
 骨折前にRTで予防が必要である。

骨転移の検索

 CT、骨シンチグラフィ、PET-CTがある。

 骨シンチグラフィでは、造骨性変化を見るため、溶骨性変化や骨梁間転移を検出できないことが
 ある。

 PET-CTが感度、特異度ともに骨シンチグラフィよりも高いと報告がある。
 骨折のリスク評価などの質的診断は難しく、症状により画像検査をX線やMRIの評価を行う
 必要がある。

骨転移の治療

 治療は大まかに3つある。
 
 薬物治療
 ①ビスホスホネート製剤→ゾレドロン酸
 ②抗RANKL抗体→デノスマブ(ランマーク皮下注120㎎)+デノタス

 破骨細胞の活性阻害作用により、骨転移による骨関連事象を抑制する。
 両方の副作用として、顎骨壊死がある。投与前に歯科評価を依頼する。
 歯科治療は治療2週間前までに終えておくことが望ましい。

 ①のBP製剤では腎障害の報告があるため、腎機能に応じて投与量の調整が必要。
 投与開始初期に発熱や骨痛などのインフルエンザ様症状が出現することがあるが、
 数日で軽快する。

 ②のデノスマブは低Ca血症のリスクが高いため、高Ca血症をきたしていないときは
 ビタミンDとカルシウムの経口補充が必要である。
 デノタスチュアブル配合錠 2錠分1 で処方。
 腎機能障害があっても②の投与は可能だが、重度の腎機能障害では低Ca血症のリスクは
 高くなるため、慎重に投与する。

 NSAIDsやオピオイド、鎮痛補助薬を積極的に行う。

 放射線治療
 疼痛緩和、病的骨折の安定化、脊髄圧迫の治療・予防に用いられる。
 症状を有する骨転移に対して放射線治療を行うよう推奨される
 外照射で50~80%で痛みが緩和する。

 20Gy(4Gy×5回)や30Gy(3Gy×10回)などの分割照射
 予後不良や連日での治療が困難の場合は、8Gy単回照射などもある。

 手術治療
 病的骨折の危険性の高い骨転移、脊椎転移が脊髄圧迫を生じている骨転移で適応。
 脊髄圧迫が1か所のみ
 対麻痺出現から48時間未満
 予後が半年以上
 であれば、患者は手術にメリットがある。

 免荷、装具が適応となる可能性もあり、整形外科に相談。

まとめ

 放射線治療科と整形外科との集学的な治療が必要ですね。力を合わせて頑張りたいと
 思います。

 また次回~

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